深夜における酒類提供飲食店営業とは
深夜における酒類提供飲食店営業とは、深夜(午前0時から午前6時までの間)において、設備を設けて客に飲食させる営業のうち、客に酒類を提供して営む営業をいいます。
ただし、営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除きます。つまり、お酒を出すといっても、主食と認められる食事が主で、付随して酒やビールを出す程度のお店は深夜における酒類提供飲食店営業には当たりません。あくまでお酒がメインの営業をいいます。バーがそれにあたります。
深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届
深夜における酒類提供飲食店営業を始める際には、営業の開始届けを都道府県の公安委員会(警察)に出さなければいけません。窓口となるのは風俗営業の許可と同様に、営業所(お店)を管轄する警察署の生活安全担当課となります。
風俗営業(1号営業)との違い
深夜における酒類提供飲食店営業と風俗営業(1号営業)(社交飲食店)との違いは以下のとおりです。
※1号営業というのは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(略して「風営適正化法」)」という法律の第2条第1項1号に定められている風俗営業だからです。
許可申請と届出の違い
深夜における酒類提供飲食店営業の場合は届出制ですが、風俗1号営業は許可制です。
届出と許可申請の手続きで大きく異なるのは、届出の場合は実地調査がなく、届出書類が受理されたら手続きが終了するということです。届出の書類は所轄警察署の担当窓口で受理された後、所轄公安委員会に提出されることになります。
なお、許可申請においては、許可証の受領時に合わせて風俗営業の業種が記載されたステッカーを受領することになりますが、深夜における酒類提供飲食店営業の届出の場合も、「深夜酒類提供飲食店 届出済」と記載されたステッカーを受領することになります。
「接待行為」の有無の違い
深夜における酒類提供飲食店営業は、1号営業のように、営業所の従業員が客の接待をすることはできません。「接待行為」とはどういうことをいうのかという定義は「風俗営業等規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」に定められています。
⇒「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」
接待行為とは
上記の解釈運用基準の「接待」の定義を簡単に言うと、次のようなことです。
☑談笑、お酌等
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。
☑踊り等
特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、歌舞音局、ダンス、ショウ等を見せ、又は聞かせる行為は接待に当たる。
☑歌唱等
特定少数の客の近くにはべり、その客に対して歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくはほめはやす行為又は客と一緒に歌う行為は、接待に当たる。
☑遊戯等
客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たる。
☑その他
客と体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。また、客の口許まで飲食物を差し出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。
接待の問題
「接待」でよく問題となるのが、スナックの場合です。
ひと口に「スナック」といっても、「風俗営業」なのか、それとも「深夜における酒類提供飲食店営業」なのかという問題です。つまり午前0時(1時)を過ぎていても営業しているスナックがあるが、それはどうなのかという疑問です。
「風俗営業」と「深夜における酒類提供飲食店営業」の違いは大きいです。なぜなら「深夜における酒類提供飲食店」ならば、難しい風俗営業の許可を取らなくても届出だけで済むからです。
結局、その違いは何かというと、お客様に対して「接待」するかどうかという違いです。
風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業との違い
- 風俗営業は許可制で、深夜酒類提供飲食店営業は届出制である。
- 風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業の両方はできない。(いずれかを選択しなければならない)
- 風俗営業は午前0時(地域により午前1時)までしか営業できないが、深夜酒類提供飲食店営業はそれ以降もできる。
- 風俗営業では「接待」ができるが、深夜酒類提供飲食店営業ではできない。
いかがでしょうか?あなたが仮にスナックのお店を始めようとした場合、上記の点をよく理解してどちらにするか決めなければいけないということです。